仏の中の私たち
どんな人間も、仏になれるということは、ただ仏のみが悟って下さっています。
それは、仏の悟りの中に、私たちが仏になった姿があるということです。
私たちが仏になられるとは、なかなか素直に信じることはできません。
しかし、どんな辛く苦しいことが起ころうとも、仏の悟りのなかに、仏となった自己が住んでいると信じて歩む姿こそが大切なのです。
このように信じ始めたときこそ、自己の中に仏の世界が芽生え、未来が開けるのです。
始聞仏乗義
この語遺文は、今の千葉県市川市中山に住んでいた富木常忍公に宛てられたお手紙です。
常忍公は、母親の三回忌の供養の品を身延山の日蓮聖人に届けられました。
これに対してのお礼を述べられ、さらに、煩悩にまみれた日常生活そのものに、仏道を感じていくように信仰の深さの必要を説き示されました。
この法門を聞くことで、全ての人々は仏となり、その功徳は両親にも及び、第一の孝養になると説かれました。
建治四年(1278) 聖寿57歳