出家することの意味
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この御遺文は『開目抄』の一節です。日蓮聖人が佐渡へと流罪になり、生命の危険にさらされながら、ご自身の信仰と生き方について自問自答され、「形見」とも言われた重要な書です。本書は、全体として全ての人々が釈尊と同じ心になれることを厳しい表現を用いて綴られていますが、その厳しさは、苦しみの世界に生きる私たちを「安らかな世界に導く」という大慈悲心から出たものです。そして和平を願い人類に尽くそうとされたのです。
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出典:日蓮宗新聞社発行『今月の聖語』平成二十五年四月号
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最近テレビでとある女優の方が「出家」を決意したということが話題となっております。また、大河ドラマ『おんな城主直虎』でも、井伊家当主・直盛の娘おとわが龍潭寺で出家するシーンが登場する等、近頃「出家」という言葉を頻繁に聞くようになりました。
よくよく考えて見ますと、私自身も出家の身。小学三年生の時に父親に連れられて鴨川の清澄寺に行き、出家・得度いたしました。当時何もわからないまま頭を丸め、大勢の大人に混じってお経を唱えたことを今でも鮮明に覚えております。
寺の長男として生まれた為、今こうして僧侶をしていると、何も迷わずに僧侶になったと思われているかもしれません。しかし、実はそうではありません。小学校の卒業アルバムの将来の夢は「サラリーマン」。何とかお寺から離れたいという思いで京都の大学に進学し、悩んだ末に僧侶となりました。両親や海徳寺の先々代海正上人をはじめ、多くの檀家さんに子供の頃からお世話になってきました。寺から離れれば離れるほど、そういった方々からの引力が強く働き、僧侶の道を選択いたしました。
出家してから三十年以上経過し、今度は子供の将来を思案する時期となりました。子供達もきっと同じように悩むでしょう。もしも僧侶になるとしても、悩んだ上で決めてほしいと思っております。近頃の「出家」という報道を聞いて、「出家することの意味」を改めて考えるようになりました。
(本覚寺副住職・加藤智章)
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本覚寺寺報(平成29年3月号)
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