真実の財産
真実の財産は、金銀宝石でもなく、土地や建物でもありません。まして数字で表現できるものではありません。
それは、心に蓄積されるものです。この財は生きる力の根源的なものです。
経済優先の現代社会の不安は、本当に大切にしなければならないものを失いつつあることからくるかもしれません。
心に財を積めば、それは内より出て身を飾り、人生をより輝かせ、やがて安穏な社会へと進む力となるのです。
『崇峻天皇御書』
このご遺文は、四条頼基公からの贈り物に対しての礼状です。
頼基公は、謹慎中でした。
やがて主君の誤解が解け、薬事の心得があったため、主君の病気治療を命じられました。
許されたうえに、以前より厚遇されることになりましたが、日蓮聖人は、それを自慢したり、油断してはならないことを事細かに教示され、人としての振舞こそが大切であると戒められました。
建治三年(一二七七)
聖寿 五十六歳