初めて仏壇を新調した方やお盆の棚経の時によく聞かれる質問が、「仏壇の向きはどの方角を向いているのがいいのでしょうか?」という質問です。結論から申し上げますと、できるならば”南向き“か”西向き“となります。
南向きが良いという理由は、中国からの言い伝えからによるものです。中国では天の中心が北斗七星のある北方という考え方があり、国を治める皇帝は天の中心である北を背に政治を行うという「王者南面」という風習があります。よくよく考えてみますと、日本の政治の中心であった京都では街全体が碁盤の目のようになっておりますが、その中心である御所は南向きです。京都では東が左京区、西が右京区であるのもこの影響があるそうです。本覚寺の本堂も南向きを向いておりますし、宮殿やお堂なども南向きであるのは、この中国からの影響を受けてのことです。
西向きが良いとい理由は、日蓮宗が経典とする法華経の教説によるものです。お釈迦様が霊鷲山にて法華経を説かれた時に宝塔が現れます。その宝塔の中に座っていた多宝如来は自らの座をあけてお釈迦様をお招きし、お釈迦様と多宝如来の2仏が宝塔の中で並びます。この宝塔は東方に出現したことから、お釈迦様と多宝如来は、東を背にし西を向いて座っておられます。この場面を踏まえますと、仏壇も東を背にし西側を向くことが望ましいこととなります。
なお、一般的には「仏壇は南向きか東向きが良い」との説もございます。この考えは、西方の極楽浄土の阿弥陀如来をご本尊とする浄土宗や浄土真宗の浄土系の宗派の考えによるものです。