上本郷三匹獅子舞

上本郷三匹獅子舞1(明治神社)

上本郷三匹獅子舞

獅子舞の世話人として

去る平成27年10月11日(日)に風早神社および明治神社において、松戸市指定民俗無形文化財である上本郷三匹獅子舞が行われました。お寺の副住職ではありますが、地域のお祭りということでこれまで獅子舞の世話人としてお手伝いをしてまいりました。今年のお祭りで世話人を終えることとなりましたが、これまで獅子舞に携わり、様々なことを教わりました。

それが「口伝」という伝承方法の大切さと、それを受け継ぐ人材の大切さです。

上本郷三匹獅子舞(風早神社)

上本郷三匹獅子舞

口伝による伝承

上本郷の三匹獅子舞の踊り手である舞子は、中学生から大学生・社会人に至るまでの3人1組合計6組で構成されております。さらに、笛吹きや獅子舞の指導・準備・運営に関係する世話人が加わり今日までこの上本郷の地で獅子舞を奉納してまいりました。

踊りの伝承方法は基本的に口で伝える「口伝」です。これは仏教の伝達方法とも同様となっております。お釈迦様が亡くなって400~500年近くは、口伝・暗記による伝承方法でお釈迦様の尊い教えが伝えられ、その集まる行為は「結集」と呼ばれておりました。

上本郷のこの地では、年に一度のこの時期になると三匹獅子による獅子舞の奉納が行われ、その歴史は200年以上ともいわれております。自分自身は、その何年間に関与してきましたが、その伝承方法を見ると、この時期に定期的に集まり、自身の記憶を後世の人に伝える獅子舞の伝承方法は、仏教の結集と同様であると実感しました。

しかしながら、時々困ったことも生じておりました。それが、踊り方や祭りの準備進行等が、人により世代により異なって伝わっているということです。人間の記憶なのでこれは致し方無いのですが、「この部分はこうだ」、「いやそうではないこうだった」という議論が交わされ、果たして正解はどちらなのかなと思うこともありました。

日蓮宗の荒行でも

よくよく思い出してみると、毎年11月1日から2月10日まで日蓮宗大本山中山法華経寺で行われている荒行の修行でも同様のことがあります。

荒行堂では、1日に3時・6時・9時・12時・15時・18時・23時の7回水を被ります。その時に定められた所作があるのですが、伝師と呼ばれる先生が、11月1日の最初に水を被る時に右手なのか左手なのかによってその年の所作が決まります。

この日蓮宗の荒行のことを考えると、獅子舞の所作に対する見解の相違は、曖昧なってしまった時点で、どちらも正解なのかもしれません。むしろ大事だと思ったことは、曖昧になる前に確認をしっかりと行い、正しく後世に伝えることです。その為には、正しい知識を持った人々が大勢集まり、その情報伝達を適切に行われる環境が何より大切なのかもしれません。

平成22年 日蓮宗 荒行 再行帰山式

荒行水行桶

後継者不足

残念ながら、現在の上本郷の獅子舞では、踊り手である舞子が不足し、これまで長きに渡って伝承してきた獅子舞の今後が危ぶまれております。

かつては上本郷に根付いた地元の家の長男のみに限定されていた舞子は、現在では次男・三男であっても踊ることができる等、その門戸が広げられております。しかしながら、シンポと呼ばれる新人が毎年3人揃うことは難しくなり、後継者不足という大きな問題に直面しております。また、舞子がいないということは、将来的には、手伝いをする世話人も自ずと減っていくこととなり、組織として人材確保をすることが急務の課題となっております。

人材確保の問題は、お寺にも無関係ではありません。かつてはお寺の行事に際して、檀信徒の方々にお手伝いをいただいておりました。しかし、近年ではお手伝いしていただく人が減少しており、円滑に行事を行うことに苦慮しております。さらに、墓参りや法要等、仏事に関して、親から子へ、子から孫へと自然と伝えられてきたことであっても、近年ではその伝達がうまく行っておらず、自身の祖父母や親が眠っていてもお墓を放棄する人も出てきました。

地元のお祭りである獅子舞のお手伝いをして、口伝による伝承方法の難しさと、それを受け継ぐ担い手の大切さを改めて実感いたしました。この経験をいつかお寺に活かすことができればと考えております。

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