日蓮宗の仏壇の飾り方

日蓮宗仏壇の飾り方

はじめに

仏壇を新調した方から、「仏壇の飾りをどのようにすればよろしいのですか?」との問い合わせがこのところ立て続けにありました。

かつては比較的大きな仏壇が多かったですが、このところは住宅事情に合わせて小さな仏壇も数多くあります。機能性・デザイン性にも優れ、従来の仏壇とはかなり様相が異なっているようです。

小さな仏壇の飾り方を調べてみると、仏壇業者の方がホームページを通じて情報を発信しております。しかし、「なぜこのような飾り方?」と思えるようなものも存在し、それらホームページの情報を鵜呑みにすることは良くないなと思いました。

そこで、できる限り日蓮宗に関する書籍に依拠しつつ、現代生活に合致した比較的小さなな仏壇の飾り方を調べた結果をお知らせいたします。

仏壇の飾り方一例

日蓮聖人像なし

日蓮宗の仏壇飾り方一例
仏壇の飾り方一例

上記の写真を見ていただくのが一番わかりすいと思いますが、文章にて仏壇に配置するものを上から順に示すと以下の通りです。

  1. 御本尊(注:日蓮聖人像、鬼子母神(掛軸)、大黒天(掛軸)
  2. 茶湯器、仏飯器、位牌
  3. 華瓶、香炉、燭台
  4. 線香立て、鈴

以下では、仏壇に飾るものを補足説明いたします。

注:今回はスペースの関係上お祀りしていませんが、より日蓮聖人像、鬼子母神、大黒天がある仏壇の飾り方の例は後述いたします。

仏壇本体
仏壇(日蓮宗)
仏壇本体

今回参考例として掲載した仏壇は、本体の大きさが、高さ54cm、幅43cm、奥行き35cmのサイズです。

メモ

なお、今回の仏壇はかなりコンパクトのため、スペースの都合上、日蓮聖人像は安置していません。また、御曼荼羅脇に鬼子母神と大黒様の掛軸も同様の理由により安置しておりません。

最上段

御本尊(御曼荼羅)
御本尊(御曼荼羅)
御本尊(御曼荼羅)

日蓮聖人が体得された教主釈尊の救済の世界を文字により紙上に表現したのが大曼荼羅であり、今回お祀りした御本尊は、臨滅度時の御曼荼羅です。

メモ

臨滅度時御本尊とは、弘安3年(1280)に、日朗上人に授与した大曼荼羅で、日蓮聖人の臨終に際し枕元に掲げたことから、この名前がついています。

上から2段目

位牌
位牌

写真のサンプルの位牌は、唐木紫檀春日3.0号です。

ご注意

今回調べた書籍の中には、位牌を御本尊や日蓮聖人像と同じ最上段に安置すると説明しているものが複数ありました。

確証はありませんが、御本尊よりも下段の方が適切であると思われます。

茶湯器(正面左)・仏飯器(正面右)
茶湯器

底が深い方が茶湯器です。

お茶やお水を入れる器のことです。仏壇正面から見て左側に配置します。

仏飯器

底が浅い方が仏飯器です。

ご飯をお供えする器です。仏壇正面から見て右側に配置します。

上から3段目

華瓶(正面左)・香炉(中央)・燭台(正面右)
華瓶
華瓶(けびょう)

華瓶と書いて「けびょう」と読みます。お供え用の華を手向ける花瓶(かびん)のことです。

香炉
香炉

写真ではまだ香炉用の灰が入っていないのでわかりにくですが、お線香を立てる香炉です。

燭台
燭台(しょくだい)

燭台(しょくだい)とはろうそく立てのことです。

三具足

上記の華瓶・香炉・燭台を三具足と言います。三具足の場合には、燭台を正面右、華瓶を正面左側に配置します。

最下段

線香立て(正面左)・鈴(正面右)
線香立て
線香立て
鈴

線香立てと鈴の位置

今回は正面左に線香立て、正面右に鈴を配置しましたが、この位置については確たる根拠はありません。右利きの方が鈴を鳴らしやすいと思い配置しました。

日蓮宗現代研究所『仏事Q&A 日蓮宗』p.142のイラストですと、両者の位置関係が逆となっています。そちらの方がお線香もつけやすそうで、木鉦叩きながら、鈴も鳴らせるのなとも思いました。僧侶目線だと、そちらの方が合理的かもしれません。

日蓮聖人像あり

仏壇の飾り方
日蓮宗仏壇の飾り方(日蓮聖人像あり)
  1. 日蓮聖人像
  2. 鬼子母神(正面右の掛軸)
  3. 大黒天(正面左の掛軸)

を仏壇に安置する場合の参考例が上記の写真となります。

脇侍の左右の位置

上記例では、正面右に鬼子母神、正面左側に大黒天を祀っています。両者の位置について何も情報を持ち合わせていませんが、上座、下座という概念でいけば、この例では鬼子母神を上位としているとも考えられます。なので、商売繁盛等、大黒様を重視するのであれば、位置関係が逆というのもあり得るかなと。但し、この位置関係の考えは、あくまでも私個人の見解です。どちらも大切ですので、優劣はつけられないというのが無難な答えかもしれません。

参考文献

日蓮宗関係の書籍

上記に掲載した写真は、今回の仏壇の飾り方に関して調べた書籍の一覧です。

結論としては、ほとんどが比較的大きな仏壇を想定しており、今回目的とするコンパクトな仏壇の飾り方はありませんでした。

以下では、調べた結果のうち、参考になるであろう情報について記します。

日蓮宗『日蓮宗宗定法要式』

まずは、日蓮宗『日蓮宗宗定法要式』を調べてみましたが、主に寺院に主眼を置いた内容のため、一般の仏壇に関する飾り方はありませんでした。

市川智康著『仏教質問箱』

檀家さんから質問されてかなり頼っているのが市川智康先生の『仏教質問箱』です。

108ページ以降に、「仏壇の正しいまつり方を教えて下さい」という項目がありました。しかし、こちらに記述されていたのは、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、曹洞宗、臨済宗、日蓮宗の本尊について重きを置いた説明でありました。

日蓮宗に関しては、一塔両尊と一尊四士塔の説明がなされており、残念ながら一般家庭での仏壇の飾り方についての記述はありませんでした。

日蓮宗現代宗教研究所『仏事Q&A 日蓮宗』

仏事に関する様々な疑問に日蓮宗の僧侶がわかりやすく説明してくれている本です。

112ページに、「Q6.自宅で使う仏具にはどのようなものがありますか?」に対する回答がありました。以下にその内容を引用いたします。

また、142ページに仏壇の飾り方がイラストにて図示されていました。そちらも掲載いたします。

仏具にはさまざまなものがありますが、仏壇で用いる仏具のうち、基本となるのは香炉・燭台・華瓶(花瓶)です。

これら三つの配置の仕方には、それぞれが一つずつの「三具足」と、燭台・華瓶を一対ずつとする「五具足」とがあります。

三具足は仏壇に向かって右に燭台を置き、中心に香炉、左に華瓶を置きます。

五具足では香炉を中心に置いて、その外側左右に燭台と華瓶を一対ずつ置きます。

五具足の方が正式ですが、ご家庭の仏壇であれば三具足でもよろしいでしょう。

その他に、一般家庭で用いられる仏具として、主に次のようなものがあります。数珠、仏飯器(炊き立てのご飯を供える器)、茶湯器(お茶や水を入れる器)、高坏(半紙を敷いて菓子や果物を供える器)、霊供膳(仏壇に供える小型の本膳)、灯籠、線香差し、打敷、鈴、経机、そして日蓮宗独自の木鉦と団扇太鼓などです。

また、位牌と過去帳霊簿は仏具ではありませんが、ご先祖の霊を祀る大切なものです。

いずれの仏具も、仏さまを供養し、荘厳するためのものです。丁寧に扱い、埃をかぶったまま使っていることのないように心掛けてください。

日蓮宗現代宗教研究所『仏事Q&A 日蓮宗』
出典:日蓮宗現代宗教研究所『仏事Q&A 日蓮宗』

出典:日蓮宗現代宗教研究所『仏事Q&A 日蓮宗』p.142

日蓮宗公式ホームページ『日蓮宗ポータルサイト』

今回はインターネットの情報というよりも文献を主な参照先といたしました。しかし、日蓮宗の公式ホームページにも仏壇に関する記述がありましたので、そちらのリンク先も添付いたします。