中外日報 「悠ゆう楽々」
中外日報社が発行している中外プラスA「悠ゆう楽々」という新聞に、平成28年2月12日付けで本覚寺を会場として行われている「松戸市囲碁愛好会」の活動が記事として取り上げられました。
以下にその新聞記事を掲載いたします。
勝負にこだわらず交流楽しむ
客殿にパチリパチリと碁石の音が響く。毎月5の倍数の日(5,10、15、20、25、30日)の6回、近隣の囲碁ファンが日蓮宗本覚寺(千葉県松戸市)に集まって和やかに盤と向き合う。
加藤雅章住職(71)が囲碁好きなことが縁となり、2002年に設立。松戸市文化祭で囲碁大会を催したり、プロ棋士を招いて子ども囲碁教室を開くなど、地域での囲碁普及にも貢献する。05年には日本棋院の北松戸本覚寺囲碁愛好会支部として登録。全国に数ある支部の中でも寺院に置かれる珍しい存在だ。
約50人の会員には檀家もいるが、そうでない人が多い。毎回20人ほどが顔を出す。まず囲碁雑誌をテキストに勉強会を開き、その後4,5局手合わせする。基本方針は「勝負にこだわらない」。会長の三枝雅信さん(78)は「勝ちたいとは思うが、勝ち負けばかり考えていると関係がぎすぎすする。それで碁から離れていく人もいるから」と説明する。難局打開の手を見つけようと夢中で考えたり、思いがけない妙手に奥深さを感じることが喜びだ。
僧侶に囲碁の関係は深い。日蓮聖人と弟子・日朗の対局は日本最古の棋譜として知られ、初代家元の本因坊算砂は顕本法華宗の僧侶。顧問の加藤住職は「お寺はみんなのもの。お寺と関係の深い囲碁を機縁に、地域の人が集まる場になれば」と願う。
加藤住職が囲碁を始めたのは立正大に通う学生の時、肺結核で入院したことがきっかけだった。「寝ているベッドから見上げる天上が碁盤に見えた」というほどのめり込んだ。しかし今、詰め碁を解くことはあるが、誰かと対局することはない。「法務を務めながらふと、あの時こうしていれば、と頭に浮かぶことがある。それだけ勝負事には力があり、修行の妨げになる」と戒める。「理想は勝ち負けのない碁」。アマチュア最高位の8段の腕前だが、愛好会では見るだけに徹している。ネットでも対局できる時代だが、「人が集まるから楽しい。会話が弾み、心の触れ合いが生まれる」と微笑む。
(有吉英治)